APERUNZ NOTE

aperunz.labの備忘録。ビデオ撮影のこと、漫画のこと。

【漫画感想】ミザントロープな彼女/異端者の極北、異常な日常の心地よさ

数年前にネットで少しだけ話題になった「落下傘ナース」をご存じでじょうか。

 

献身的な愛情を至上主義とする主人公の女の子が、奉仕のために彼氏を残虐非道な目にあわすジェットコースター式スプラッタホラーコメディーというもう分類からしてヤバい漫画でした。2巻完結なのですが後半のブレーキぶっ壊れた感は寒気のするほど異常で、異常であるがゆえに面白い、という人に紹介しづらい漫画でした。

 

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そんな作者、厘のミキの新作、ミザントロープな彼女が面白いです。2巻発売中、まだ未完結なのですが…。

 

倒錯した愛情、歪んだ日常

 

kotobank.jp

主人公はもちろんの事、主要キャラ全てが歪んだ世界観の持ち主。ゆえに本人達の日常はスラップスティックであり、「私達が普段持っている偏見や世界とのずれを最大限まで極端にしたらこうも滑稽なのか…」という気づきもあります。

かといって破綻した世界ではなく、きちんと文法、構造にのっとって漫画は展開していきます。主人公を迎えに来るキャラ達が玄関前で何をしているのかはテンドンながら、ページめくる前の予想をあっさり裏切られる感じ。好きです。

 

設定の異常の裏に隠された日常会話のセンス

 

本作ではキャラ同士の会話に一番笑いました。大喜利センスに近い「ここでこのワードを持ってくるか‼」みたいな驚きもあります。一話目からぶっとんでるので興味あれば立ち読みを。良かったら購入を。

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いきすぎた愛情の結末は恋愛のハッピーエンドをもたらすか?

 

異常さにスポットをあてて紹介してきましたが、この漫画ジャンルとしては「ラブコメ」となります。何故キャラ達は恋愛、愛情に対して偏執的になったのか、この作品ではその原因を匂わせるエピソードもあり、完全な非日常の物語ではなく、割りと現実世界に近い話としてみること可能です。このエピソードもまぁ現実でもありそうな話だったりするんですよね…。

誇張された各人の歪みはもしかしたら読者の心情の過剰投影としてみることも可能です。そんな歪みきった恋愛観、人生観をもった彼女らの恋愛模様はハッピーエンドに終わるのか?これからの展開が楽しみです。

 

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