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【漫画感想】「少年Y」における命の選択・生きる意味とは?

sokuyomi.jp「

 画とうじたつや、原作ハジメ「少年Y」読みました。

 

 主人公ユズルは転校当初にクラスメイト全員が死ぬという不思議な事件に巻き込まれる。戸惑う譲の前に現れたワピコという謎の少女が、ユズルに神の権限のもとに命の選択を迫る。「チョチョイのチョイスだ!」

 

 マイケル・サンデル教授の公開授業で話題になった「トロッコ問題」に近い、誰を助けて誰を助けないのかという問題が根底です。命は大切であり、今まさに命を落としそうな人がいたら助けるのが、社会的共通認識です。異論を唱える人は少ないと思いますが、仮に片方を助けて片方を見殺しにしないといけない場合。助ける基準というのは存在するのでしょうか。そういった疑問を積み重ねることで命とはなにか?生きるとはなにかを問う漫画です。

 

 原作ハジメさんは、普段は施川ユウキ名義で「サナギさん」「もずくウォーキング」などを書かれています。また"このマンガがすごい!2015"にて誰もいない世界に残された少女とフラミンゴになってしまった少年の漫画「オンノジ」が入賞しています。

 日常の些細な疑問点を深く掘り下げる系の作風でしたが、生活に対して丁寧に視線を向けることでそこに哲学を見出す、さらにそれをエンターテインメントとして昇華させるのがものすごく上手な方です。

 人々が当たり前に認識しているものの意味をあえて問いただす。その姿勢が日常のあるあるな光景に向けばギャグ漫画になるし、生命に対する考え方に向けばサスペンス漫画になる。手法は同じでこれほど色の違うストーリーを作れるのはさすがだなと思います。

 

 漫画を通して「気づき」が生まれる瞬間が好きです。それはなにげない登場人物のセリフから読み取れる哲学であったり、作品からあらわされるテーマであったり様々なのですが。

 この「少年Y」はたくさんの気づきをくれるでしょう。すでに完結している漫画なので、新しい気づきのカギを手に入れてみてはいかがでしょうか?

 

 

少年Y 6 (少年チャンピオン・コミックス)