APERUNZ NOTE

aperunz.labの備忘録。ビデオ撮影のこと、漫画のこと。

JT CM「ひとつずつですが、未来へ/多様性の尊重」篇に心動かされた話

たばこ会社JTの新しいCMがめっちゃよかったです。

www.jti.co.jp

 

まずはぜひ見てほしいと思います。そのあとはいつもの自分語りをします。

・映像としての良さ

 2年前ぐらいからよく見かけるようになったのですが、細かいカット割りで様々なモチーフを連続して出していくCM増えたと思います。「家庭教師のTRYダンス編」や「android」「KIRINmets」など。

 短い時間内でたくさんの情報を伝えていくCMにおいてこの細かいカット割りはとても有効なんですが、このCMではすべて鳥瞰視点で撮られており統一感があります。その中で道路の直線を連続で見せたり、バレエ、街中の傘、水滴のリングなどモチーフが散漫にならないよう、イメージの中でそれぞれが同じ世界観で共存するように撮られています。またマクロで見た池のボートからミクロで見た顕微鏡下の微生物へ続くカットも連続性が感じられて非常に良いですね。異なるシーンに共通点を見出す作業を視聴者がすることによって、「この世界が連続性を保っている」ことを認識する作りになっているのではないかと思います。テーマが多様性の維持と共存なので、そうやって映像で間接的にテーマの理解の支えをできることはやはりすごいです。

・内容の良さ

 CMなので商業性を伴っており、たばこを売りたいがためのこのメッセージと結論付けてしまうことは可能でしょう。しかし多様性の尊重というお題目に対して、我々はまだ真剣に考え切れていないのではないかと思うのです。

 別のJTのCM中でとても印象に残っているのが「あなたの好きが誰かの嫌いかもしれない。また誰かの好きがあなたの嫌いかもしれない」という一文です。自省をこめて言いますが、日常生活ではあながちこの感覚忘れがちではないかと思うんですよね。

 社会における正義だからと誰かを非難するときに、本当に正義なのか、その正義を定義したのは誰なのかを今一度問いただした方がいい。また自分の信念に基づく発言を誰かにとがめられたときに、自分の信念が何に根差しているものなのか、それが他人にとがめられても貫くべきものなのかは一度立ち止まって考えなおした方がいい。

 その確認作業こそが社会にあふれるいろんな争いを減らす第一歩なような気がします。

 

このCMでは「たばこを吸う人、吸わない人、共存しましょう」というメッセージではなく「(人々は)様々であるという大切さ、真剣に考えていきたい私たちです」という一文で締めくくられています。考えていきましょう。それが社会を変える一歩になると僕は願っています。

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