【漫画感想】「四月八日のまえがきに」にみる青春SFの爽やかさとゆうきまさみ的間の妙
松井信介作「四月八日のまえがきに」読みました。単巻完結です。
ストーリーはど真ん中青春SF。遅刻したヒロインが運命の転校生と交差点でぶつかる……寸前でぶつからなかったことにより、運命の歯車が狂ってしまい、ヒロインとその回りの数名を残し、世界の在りかたが変わってしまう。
神様から与えられた使命は「世界の特異点を修正した上で運命の転校生とぶつかる」こと。ヒロインの自分の世界を取り戻す戦いが始まる。
作者はこれがデビュー作とのこと。20代中盤まで漫画を書いたことがなく、旅行中にシカを跳ねてしまったショックからバイトを辞め、金銭的に困ったから新人賞に応募したという異色の経歴の持ち主。これだけで漫画になりそう。
スッキリした絵柄に爽やかな性格の登場人物。スラップスティックなアクションに軽妙な掛け合いでサクサク読み進めることが出来ます。特に会話の進め方ものすごく上手で、思わずクスッとしてしまいます。
この力の抜きかたはゆうきまさみ先生的だなと思いました。危機感あふれる場面での淡々と進められる会話劇。若い女の子がマニアックなギャグを言う。また威厳のあるべきポジションの人をあえていじる感じはとてもゆうきまさみ的です。
メタ的というか楽屋空気のある場面も多く、漫画的構造に対しての理解の深さをうかがわせます。落語やダウンタウンからの影響があるとインタビューでも答えていたので、俯瞰的見方が凄い得意なんだと思います。次回作が楽しみですね‼