APERUNZ NOTE

aperunz.labの備忘録。ビデオ撮影のこと、漫画のこと。

【fps問題】なぜ24fpsは映画っぽいのか?

  備忘録。

 映画のような質感を作る際に挙げられる要点の一つとして「24fpsで撮ること」があります。逆説的な話になってしまうのですが、「24fpsがなぜ映画っぽいのか?」に関しては「映画が24fpsで撮られているから」だからです。しかし映画はなぜ24fpsなのか?それ以外はダメなのか?についての疑問は残ります。

少し調べてみました。

 ・映画のfpsの歴史

 最初期の映画は、1893年フランスのリュミエール兄弟が作ったとされてます。音声のないサイレント映画の時代は16fpsでした。なぜ1秒間に16コマが採用されたかというと、これが人間がちらつきを感じる最小のコマ数だったかららしいです。

 やがてトーキー映画が登場し、映像に音声がつくようになったのですが、音声はフィルムの横に波形で印字されていました。そのとき16fpsでは高音部をうまく再現できない等の問題があったようです。そこでコマ数を増やす必要が出てきましたが、増やしすぎると今度はカメラや映写機のモーターがついていかない、フィルムの量が膨大になるなどの理由があり、際限なく増やすことは困難でした。そこで現実的な解決策として24fpsが提案されたのです。

 やがて撮影機材が進化し、テレビ放送や家庭用カメラのフレームレートが上がっても、映画業界では24fpsが標準フォーマットでした。これは映画館などの上映機材入れ替えに対するコストの問題が大きかったのではないかと思われます。

 

35mmフィルムによる上映は1895年に始まって以来100年以上に渡って継続されてきたが、世界的に2006年頃から上映のデジタル移行が本格化し、 3D映画の浸透および35mmフィルムでの配給本数の激減などと並行して、2009年頃から2012年にかけて急激に進んだ。2013年末の時点で日本で はミニシアターを含む全スクリーン中の95%がデジタル化している(全世界では90%、ノルウェイ・オランダ・韓国100%、フランス96%、イギリス 95%、アメリカ・カナダ90%、イタリア65%、スペイン約50%)。

デジタルシネマ時代の小規模映画の上映形式の研究

 

  全世界でデジタル上映普及率が90%に達した今でも「映画は24fps」が常識になっています。形骸化した慣習ではあるものの、定着したフォーマットが変わるほど人の目は進化を求めていないのではないかと思います。

※余談ですが3Dと24fpsの相性はあまり良くないといわれていて、3D映画業界ではfpsフォーマット変更を叫ぶ著名な監督が数名います。「ホビット/決戦のゆくえ」では48fpsバージョンが公開されています。一部ではゲームみたいと不評だったそうですが…

youtu.be

 fpsと安っぽさの関係

こんなブログ記事を発見しました。

xxxkaigaixxx.blog.fc2.com

自分の観察から、幾つかのコンビネーションだと思う:
最初で一番重要なものはフレームレート:
アメリカのほとんどのソープオペラ/ニュー ス番組/ホームビデオは30fpsで撮影されている その他のテレビ番組(Breaking Bad, Game of Thrones, Modern Family)は映画と同じ24fps ソープオペラやホームムービーで見てたから「チープ」だと感じてしまう

  日本にいるとあまり感じませんが、確かに月9と海外ドラマを比べると「質感が違うな」とはおもいます。もちろん被写界深度などの別要素も絡んできますが、そこの原因がフレームレートにあるとしたら24fpsはてっとりばやく「それっぽい」質感を出す最善の方法かもしれません。

 

・とりあえずのまとめ

 映像の良し悪しは主観的な部分も大きいので、あとは好みになるかもしれませんが。

「世界的にみると映像業界では24fpsが主流である」というのが一個の結論かもしれません。逆に世界的な主流でなくなれば、つまり60fpsネイティブ世代がものづくりの主流になれば、24fpsはアイコン以上の意味はなくなりそうです。

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